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#コラム2024.11.11

成人式に振袖を着る理由は大人になるという意識を高めるため

成人式に振袖を着る理由は大人になるという意識を高めるため

成人式に振袖を着ると気持ちも引き締まり、大人への一歩を踏み出したと実感する方は少なくありません。成長を見守ってきたご家族も感慨深いものがあるでしょう。成人のお祝いに振袖を着るのはなぜなのでしょうか。ここでは、成人式に振袖を着る理由について解説します。

【目次】

1.振袖は未婚女性が着る礼装

2.振袖の「振る」はお清めの意味がある

3.成人式に着る振袖の色には意味や役割がある

4.今回のまとめ

1.振袖は未婚女性が着る礼装

振袖は未婚女性のみが着られる正礼装（第一礼装）の着物です。正礼装とはもっとも格が高い礼装で、振袖も黒留袖や色留袖と同じ格に位置します。成人式は成年に達したことを祝う行事です。古来より元服など武家で成人の儀式が行われていました。冠婚葬祭の「冠」に当たるのが成人の儀式で、もっとも格が高い着物を着用するとされています。そのため成人式には正礼装である振袖を着用するようになりました。

2.振袖の「振る」はお清めの意味がある

振袖は、神事「魂振り」が由来といわれています。古来、神様は目には見えないあらゆるところに存在するとされていて、空気を揺らし意思を伝えていました。「振る」という行為で、神様を呼び寄せたり厄除けをしたり場を清めていたそうです。成人式に振袖を着ることで身を清めるという意味を表します。

袖を「振る」は他にもさまざまな意味を持ち、求愛や別れを惜しむ、合図を送るなどの場合にも使われます。例えば万葉集では、額田王に対して袖を振り求愛する元夫をたしなめる歌を詠んでいます。他にも「袖振り合うも他生の縁」「ない袖を振る」など、「袖」を使う言葉が多く存在します。古くから袖を振る行為は多くの意味を表していたようです。未婚では愛情表現のために袖の長い振袖を、既婚では袖を振らず留袖を着るという意味もあります。

3.成人式に着る振袖の色には意味や役割がある

振袖にはその色にも意味や役割を持っています。振袖で人気の色が持つ意味を色ごとに見てみましょう。

●赤●　古くから魔よけの意味を持つ色、神聖な色と考えられています。そのため、神社の鳥居など多くの神社仏閣で使われてきました。紅色や緋色などの赤があり、情熱的な思いを表します。

●白●　無垢で穢れのない色として神様に仕えるための着物として使われていたそうです。純粋、清潔などのイメージで花嫁衣装に使われています。

●ピンク●　女性らしさ、可愛らしさを表すピンクは振袖でも人気の色です。桜色や桃色など平安時代から現代まで愛され続けています。

●紫●　古くから高貴な色として身分の高い人を示す色でした。優雅で上品な紫の振袖は、大人の象徴として成人式の振袖にふさわしい色です。

●青●　青は落ち着いた大人の知性を感じさせます。明るく優しい水色や空色、冷静な大人に似合う紺色や藍色などさまざまな青があります。

●黒●　黒の振袖は大人っぽく装いたいときにぴったりの色です。茶色がかった黒茶、フォーマルに用いられる墨、灰色がかった鉄黒など黒にも多くの種類があります。

●黄色●　ビタミンカラーともいわれ明るく元気なイメージがある黄色の振袖です。緑がかった黄蘗色（きはだいろ）や、赤みがかったくちなし色などがあります。

●緑●　自然や植物の緑は穏やかさを感じさせます。黄緑や青緑など緑の種類も多く、それぞれの色により異なる着こなしができるでしょう。常緑樹の葉の色を指す常盤色（ときわいろ）は永遠に変わらないという意味があり、長寿や繁栄を表します。

4.今回のまとめ

振袖は未婚女性のみが着用できる正礼装の着物です。成人を祝うおめでたい式典にふさわしい振袖は、神事が由来となり身を清める意味もあります。また振袖によく使われている色にも様々な意味が込められています。振袖の色に込められた意味も考えながら袖を通してみてはいかがでしょうか。